よく公図はいいかげんだと言う人がいます。果たして公図はいいかげんなのでしょうか?結論から言えば、ノーです。いいかげんではありません。
地図には大きく分けて「一般図」と「主題図」があり、公図は後者に属します。そして、一般図でもそうですが主題図の方では特に強調と省略が行われるのが常です。分かりやすく例を挙げて説明しましょう。
今、皆さんが誰かに○○駅に行く道を尋ねられて、鉛筆で紙に略図を書いて説明してあげたとします。多分道は一本線で書き、信号や交差点は軽くマーク、コンビニくらいは記入するでしょう。
そして、「ここで曲がってこう行けばいいですよ」なんて教えてあげると思います。そのときに、その道路幅が具体的に何メートルあって途中に家が何軒あってなんてこと細かに書き込む必要があるでしょうか?要は駅に行くための道順さえ分かればいいのですから余計な事は一切省略して肝心のところは強調する書き方がベストなのです。このとき駅に行くための道順というのがこの略地図の主題になるわけです。
このとき道順を尋ねた人が「この略地図は縮尺もでたらめだし、いいかげんな地図だから役に立たない」なんて言って破り捨てたりするでしょうか?
よく、東京の山手線の駅を円周上に等間隔で表示したものがあります。あれも同じことで、駅と駅がどのくらいの距離だとかそんなことが主題ではなく駅同士のつながりに重点を置いているわけです。
ちなみに、縮尺がきちんとしているものを数学用語で「相似」といい、縮尺はいいかげんでも図形のつながりは一致しているものを数学用語(位相幾何学用語)で「同相」といいます。つまり、相似地図は正しく、同相地図はいいかげんというのは、誤りなのです。
ですから、14条地図は復元能力をも兼ね備えた相似地図ですが公図は同相地図であると思っていただければいいわけです。
ちなみに、14条地図の主題は、現地において、それのみを以って現地を特定でき、且つ土地の境界を復元できる事にあります。
それでは公図の主題とは、いったい何でしょうか?それには、公図が作られた歴史背景を探っていかなければなりません。
ページのはじめへ戻る
|